Research

動物の行動をシステムとして理解することを目指しています。キイロショウジョウバエの交尾行動を対象に、それを制御する神経回路の解明と、行動をその場で検出して介入する解析システムの開発を並行して進めています。行動を真に理解するには causation・ontogeny・survival value・evolution の四つの観点が必要ですが、これらはそれぞれ別の分野で個別に扱われてきました。神経行動学と情報学の道具立てを組み合わせ、その四つをつなぐ枠組みとして「システム行動学」を提案しています。

研究テーマ

ショウジョウバエ交尾行動の神経機構

キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の交尾行動を対象に、行動を制御する神経回路を調べています。ショウジョウバエは中枢神経系を持ちながら遺伝学ツールが豊富で、世代時間が短く飼育もしやすく、決まった行動パターンを示すため、行動の神経基盤を扱うのに適したモデル生物です。脳の神経細胞どうしのつながりはほぼ全て明らかになっている一方で、それぞれがどのような機能を担っているのかは分かっていないことが多く、行動から回路へ遡る余地が大きく残されています。これまでに、機械刺激を受容するチャネル Piezo とその発現神経が交尾姿勢の安定性に寄与し、繁殖成功につながることを示しました。現在は、交尾中の射精のタイミングを制御する神経機構を対象にしています。

→ 詳しくはブログ記事「なぜハエが研究に使われているの?」に書いています。

リアルタイム行動介入システム

動物が特定の行動をした瞬間に装置を動かす、リアルタイムの行動介入システムを開発しています。従来の行動解析は撮影した動画を後から解析するものが中心でしたが、行動が起きたその場で検出して光遺伝学的な操作を加えられれば、行動と神経活動の関係により直接踏み込めます。姿勢推定を用いて交尾の開始をリアルタイムに判定しレーザーを制御する手法と、物体認識アルゴリズム YOLO で交尾行動そのものを認識して介入する手法を報告しました。物体認識による行動の定義は、個体数が増えてもエラーが出にくく、動物の向きに影響されにくく、解析速度が速いという利点があり、姿勢推定では捉えにくい行動も扱えます。一方で一連の流れや個体識別は苦手であり、両者は互いを補完する関係にあります。

→ 詳しくはブログ記事「物体認識を使った新しい行動解析ツール"YORU"とは一体なんなのか」に書いています。

システム行動学(Systems Ethology)

行動学はニコ・ティンバーゲンが示した四つの観点、causation・ontogeny・survival value・evolution を指針としてきました。しかし実際にはそれぞれが別々の分野で個別に研究され、焦点の外はブラックボックスとして扱われがちです。システム行動学は、これらをつなぐ共通言語として「システム」という見方を置く枠組みです。行動をシステムの出力と捉え、その入力と処理を担う部分を行動システムとして定義します。行動システムは個体・神経細胞・分子と複数の階層で見ることができ、階層をまたいで理解することが求められる一方、一つの研究で全体を理解することは不可能です。だからこそ、分野を問わずアプローチと知見を共有できる場が必要だと考えています。2024年9月の SWARM2024 でこの枠組みを提案し、Organized Session を企画しました。現在は国内でのシステム行動学研究会の立ち上げを準備しています。

→ 詳しくはブログ記事「システム行動学 (Systems Ethology)とは一体なんなのか」に書いています。

開発ツール

業績・受賞

論文・Proceedings・学会発表・解説記事は業績一覧に、受賞・助成・奨学金は受賞・助成一覧にまとめています。

発表資料

GitHubの基礎からプログラム管理、そしてプログラムコードを論文に公開するまでの手順(PDF)(2024年1月15日更新)

GitとGitHubの使い方に関する発表資料です。実際にGitHubを使ってどのように操作するのか、プログラムコードを論文に載せるためにはどのような手順を踏むのかを説明しています。